予防養生
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季節の予防養生
冬のかゆみ
空気が乾燥する冬は肌も乾燥しやすくなるのはなぜでしょうか?
かゆみの原因で一番多いのが「乾燥肌」と言われています。
なぜ乾燥肌になるのか?
それは、皮ふの構造を理解すると納得できます。
体はラップ1枚分の厚さで守られている
皮膚の一番外側にある
「角層」と汗と皮脂が混ざってできた「皮脂膜」が
外界からの様々な刺激から体を守っています。
「角層」
○角層の厚さは約0.02mmで食品用ラップとほぼ同じ厚さしかありません。
→掻くことで、この薄い角層が壊れてしまい、バリア機能が低下してしまいます。
○角層は角質細胞が何層もレンガのようにぎっしりと積み重なり、セラミドという脂質やコレステロール、脂肪酸などがバラバラにならないように接着しています。
→セラミドは、加齢や洗いすぎ、ターンオーバーの乱れなどで減少してしまいます。すると、角質がバラバラに壊れてしまい乾燥肌になってしまいます。
○角質細胞は、アミノ酸などの天然保湿因子(NMF)で満たされています。
→ターンオーバーが乱れるとNMFが減少し乾燥肌になってしまいます。
乾燥するとかゆみの神経が伸びる
皮膚には「かゆみを感じる神経」(Cー繊維)があります。
通常は表皮と真皮の境界部に止まっていますが、
乾燥肌になると、角質のすぐ下、体の表面近くまで伸びてきてしまうのです。
そのため、衣類の摩擦や石けん等のわずかな刺激でかゆみを感じるようになってしまうのです。
特に加齢や洗い過ぎ、肌荒れ等で肌の保水力が落ちている人はかゆみが出やすい状態です。
乾燥肌にならないために
乾燥肌のかゆみ対策は、保湿剤を塗って皮ふの乾燥を防ぐことが基本です。
保湿剤を塗ることで、角質の上に皮膜を作り、水分が逃げるのを防ぎ、角質に潤いを与えることができます。
乾燥肌が改善されれば、皮膚のバリア機能が回復し、過敏なかゆみの神経も改善します。
<保湿剤の塗り方>
最低1日1回は保湿剤を塗りましょう。
○入浴後すぐが効果的です。
○乾燥した部位は手のひらで。
○湿疹のある部位など狭い範囲は指先で。
○擦り込むと、その刺激でかゆみが増すので、ゴシゴシ擦らないように塗りましょう。
<気をつけること>
×熱い湯や長湯は避けましょう。皮脂が流れ落ちてしまいます。
×ナイロンタオルなどでゴシゴシ擦らないでください。
×石鹸を使いすぎない。シャワーのお湯だけでも汚れは落ちます。
×ウールやナイロンなど肌に刺激になる衣類は避けましょう。
×汗をかいたら早めに洗い流しましょう。
×電気毛布などの電気製品は肌が乾燥するので気をつけて使いましょう。
○加湿器などで部屋の湿度を保ちましょう。
×香辛料やアルコール、カフェインなどの刺激物は控えましょう。
×心理的ストレスはかゆみを増すので気をつけましょう。
乾燥肌を漢方で考えると
漢方では血(けつ)の不足が乾燥肌の原因の一つと考えます。
冷えや加齢、疲労やストレス等で血の循環不良や不足が起こると、肌に栄養が行き渡らなくなり乾燥肌になります。
・当帰飲子:乾燥が強いタイプ
・黄連解毒湯:熱を持っていて痒みが強いタイプ
・消風散:ジュクジュクと汁が出ているタイプ
などが代表的ですが、体質によって漢方薬が異なりますので、お困りの方はご相談ください。
参考:順天堂大学 環境医学研究所 なぜ、かゆい?https://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/kankyo_igaku/kayumi/itch.html
参考:第一三共 薬と健康の情報局 乾燥肌の原因
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/45_kansouhada/
参考:タウンニュース 川崎市宮前区版2021年11月26日号