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不妊・子宝
「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」とは
排卵誘発剤(主にゴナドトロピンによる)を使うと
多数の卵胞が発育しますが
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になることがあります。
腹部膨満感、悪心、嘔吐、乏尿、呼吸困難などの症状があり
検査では
・卵巣腫大
・腹水、胸水(重症の時)
・血液濃縮、低蛋白血症、凝固能亢進、低Na血症、高K血症
などが認められます。
卵巣腫大が6cm以下で血液所見が正常である軽症なものから
卵巣腫大が12cm以上、胸水を伴うような重症なものもあり
重症例では急性腎不全、血栓症など重大な合併症に進展することがありますので
入院して治療を受ける必要があります。
対策は?
・PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)
・35歳未満の若年者
・OHSSの既往
の方や
卵巣刺激中に
・エストラジオール(E2)が急激に上昇
・発育卵胞数が著しく多い
などの過剰刺激の兆候がみられる場合
には
OHSSになりやすいため
卵巣刺激に使う薬の種類や投与量などを調整することが行われています。
漢方では?
OHSSでは卵巣が腫れたり、腹水がたまったりしますが、
漢方ではこれらを痰湿・水湿と考えます。
いらないものがたまっていることで本来の生理機能が妨げられている状態です。
痰湿や水湿を取り除いたり、血のめぐりをよくする漢方薬で改善していきます。
採卵のために必要な排卵誘発剤の使用が最小限で済むように
また、繰り返し採卵をする必要がないように
卵巣の力を高めて妊娠しやすい体力をつけることが一番大切です。
周期調節法では質のよい卵子を育てたり、OHSSの予防の目的で
採卵周期に補腎薬や痰湿を解消する効果のあるものなどを活用します。