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全身症状
人食いバクテリア
細菌が筋肉に取り付いて、数日のうちに命が奪われる「人食いバクテリア」の患者数が急激に増えています。
2015年8月中旬までの患者数は284人となっていて、その年齢層は50代から60代がピークです。
発症には免疫力の低下が最大の原因です。日頃よりストレスや疲労を蓄積させず、免疫力を維持させておくことが大切です。
人食いバクテリアとは?
○劇症型溶血性連鎖球菌(主にA型溶血性連鎖球菌)による感染症
○突発的に発症し、急激に多臓器不全に陥って、敗血症ショックによって重篤な症状を発症する
○四肢の疼痛から始まり、数十時間内に手足の壊死、ショックと多臓器不全を併発することで死に至る
○死亡率は30%、細菌感染の中でも最も高率。
○国立感染症研究所によると、通常のA型連鎖球菌の毒素を産生している遺伝子が変異を起こして、毒素産生量を高めたものとしている
人食いバクテリアの詳細?
1980年の中頃にアメリカで最初に報告され、続いてアジアやヨーロッパでも報告去れるようになりました。日本での典型的な症状は1992年に報告されました。
<感染経路>
【一般的な連鎖球菌】
鼻や口の粘膜 → 咽頭炎や皮膚感染
【A型溶血性連鎖球菌】
・海産魚介類に付着し、その刺身や加熱不足の料理を食べる
・傷のある人が河口近くの海に入る
→ 粘膜や傷口から感染 → 急激に手足の筋肉が壊死 → 錯乱状態
→ 多臓器不全によるショック状態 → 死に至る
※人から人への感染はありません。
注意が必要な人は?
□肝臓疾患や免疫力低下など基礎疾患のある人、貧血の治療で鉄剤を服用している人
肝臓疾患、免疫力などの基礎疾患を持っている人や鉄剤を服用している人は、重症化しやすくなります。
この時の初期症状は、発熱と激しい痛みでほとんどの患者で皮疹が発症します。
□肝硬変などの肝臓に基礎疾患のある人
肝硬変や肝臓に基礎疾患がある人では敗血症を引き起こしやすく、敗血症を起こすと極めて死亡率が高く、50〜80%となる事が報告されています。
→肝臓疾患や免疫力の低下の人などは、どんなことに注意をすればよいでしょうか?
特に夏場の時期での魚介類の生食は避けて、適切な温度で加熱処理した食材を摂取することが大切です。
「人食いバクテリア」は、腸管出血性大腸菌O157を殺傷するのと同程度の中心温度が70℃で1分間、100℃であれば数秒間で死滅させることができます。
□妊婦
厚生労働省の調査によると、妊婦がこの病気にかかると発病から1日以内に死亡する例が相次いでいることが分かっています。
これまでに14人が確認されていますが、そのうち命が助かったのは1人だけです。妊婦は通常より進行が早く治療が間に合わないためです。
人食いバクテリアの感染予防のために
上記のようにハイリスクの人は
○菌が発生しやすい季節(5月〜11月、特に7月〜9月)に刺身などの生食を避け、良く加熱することが重要
○手に傷がある場合は、生の魚介類の調理を避けたほうがよい
○調理する人は、A型溶血性連鎖球菌で汚染された包丁やまな板などの調理器具を良く消毒して二次感染が起こる事のないよう心がけることが大切
○日頃の疲れを残さず基礎体力を維持して、免疫力を発揮させることができる体を維持させておくことが感染予防の基本
参考:WAKU2情報ランド